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続・地球最後の日

 

女「いやー、隕石キレイだったねー!」

 

男「そうだなー、でも、あれで地球の人はみんな死んじまったんだよな・・・」

 

女「それはもう言わない!それに、ギリギリまで地球に残って最後の瞬間を見たいって言ったのはタカシでしょ!」

 

男「そりゃま、そうなんだけどさ。なんかこう、今まで生きてきた場所が消えてなくなるってのが実感わかなくてね。」

 

女「そりゃそうでしょ。世界広しといえども、住んでる星がまるまる無くなって生きてる人なんてほとんどいないし。私が悪魔でラッキーだったね!」

 

男「ははは。彼女が悪魔だったのをラッキーと言っていいのかどうかすげー悩む!」

 

女「あー!そのおかげで今生きてるんだよー!」

 

男「わかってるわかってる。ありがとな。んでさ。」

 

女「なーに?」

 

男「ここが、冥界、なんだよな?」

 

女「そーだよ。びっくりした?」

 

男「びっくりというか、拍子抜けしたというか。いやでも、びっくりしたのかな?」

 

女「まあ、地球で考えられてる冥界とはちょっと違う、かな?」

 

男「なんかもっとおどろおどろしいものを想像してたんだが、なんというか随分都会的というか。ビルもあれば車も走ってる。地球と違うところといえば人間っぽい生き物がいないこととか、売ってるものが地球になさそうなものばかりなところとか。」

 

女「おもしろいでしょー!でもご飯は地球の方がおいしかったかも。」

 

男「へー、冥界のご飯ってどういうもの?」

 

女「えっとねー、ザザエビゴロシのバイゼルとかー、ソマザムリのデデムとか。」

 

男「・・・すまないが日本語に翻訳してくれるか?」

 

女「えーっと、えーとえーと、うーーーん、エビの頭にコウモリの羽が生えて昆虫の足が20本くらいついた生き物を2万度の火で炙る料理。」

 

男「エビの頭にコウモリの羽?昆虫の足が20本?2万度?」

 

女「冥界の中では割とメジャーな食べ物。そこそこおいしいよ?」

 

男「・・・がんばれタカシ。お前がいるのは地球じゃない。郷に従え。冥界なんだからエビの化け物もいるし2万度の火くらいガスコンロから出るに違いない。」

 

女「あとで食べに行こうか!」

 

男「そう、だな。コンビニ飯で口直しできる今だからこそここでの飯に慣れておかねば・・・それはともかく、いまどこに向かってるんだ?冥界にきてから随分歩いてるけど。というか人間がいてもみんな気にしないんだな。あの鳥の頭した3mくらいのやつとか周囲の生き物全部叩き壊しそうな見た目してるのに。」

 

女「冥界は広いからねー。ここはその中心の都市みたいな感じ。冥界中からいろんな種族が集まってくるんだよ。」

 

男「へー、どんくらい広いの?ロシアくらい?」

 

女「んー、地球3000個分くらい。」

 

男「へー。地球3000個か~。もうわかんねえな。」

 

女「場所的には、天国と地獄の間にあるんだ。あ、天国も地獄もちゃんとあるよ!誰が伝えたのか知らないけど、宗教の内容も割とあってるものが多かった。」

 

男「そーなんだ。てことはホントに死んだ人とも会えるかもしれないんだな。」

 

女「んんー、可能性としてはあるかも。でも難しいかな。」

 

男「どして?」

 

女「基本的に一方通行なんだ。天国から冥界、冥界から地獄。その逆はちょっと特殊な方法じゃないと渡れない。私も知らないし。」

 

男「なるほど。わざわざ天国から降りてくるやつなんていないってことか。」

 

女「地獄にいきたいってのもね~。」

 

男「そりゃそうだ。いたとしてもものすごいドMだな。ちなみにどうやって地獄に行くんだ?」

 

女「簡単だよ。そこらへんに開いてる穴が全部地獄につながってるよ。落ちないでね。」

 

男「穴?そんなんどこにーーーーあっ」

 

女「タ、タカシーーーーーーー!!!??」

 

男「うっそだろおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

女「お、おちちゃった・・・どーしよ。」

 

 

 

つづく

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