「ある日のパン屋3」
男「ぬおおおお!!俺はお前が憎いいいい!!!」
女「どうしたんだいバケット君。ただでさえ硬いパンがもっと硬くなってしまうよ。」
男「お前のことが憎いと言っているだろうがっ!そんな塩対応されたら、もーっとブチ切れてしまうわあ!!」
女「一体僕の何が憎いっていうんだい?同じパンじゃないか。仲良くしようよ。たとえ売り上げが天と地の差だったとしてもね。」
男「そういう態度が癇に障るというのがわからんのかこの野郎が!薄くてサクサクして甘いだけの安い菓子パンのクセにいい!!」
女「それは僕がラスクだからしょうがないよ。それに僕は君を薄くカットして作られるんだよ?僕も君も同じなんだ!何をそんなに怒ることがあるんだい?」
男「なんでおめえみたいなのが俺から作られるのか甚だ疑問だね!この硬いパンをかじりつくのがいいってもんだろうよ!男の食べ方ってなもんだろうよ!」
女「そんなのはやらないよ。それに、売れ残った君を加工してラスクに生まれ変わるんだからとっても生産的でいいじゃないか!世の中のニーズにあった適切な対応だよね!だから思う存分売れ残っていいんだよバケット君!あはは!」
男「むっきぃぃぃぃい!なんでてめえはそう嫌味ったらしいんじゃあこのラスクは!甘いのは味だけか!性格はカレーパンも真っ青な辛口だなこの野郎!」
女「僕自身はとっても性格がいいんだけどね!ただ、元の素材が粗暴だから、そこが受け継がれちゃったのかな?まったく、とんだ迷惑だよ!」
男「つまりは俺の所為ってか~~~~??ラスクになるとお前みたいになっちゃうってことか~??最悪だ~それなら犬でも食われた方がまだマシだってーのお!!誰でもいいから買ってくれええ~!!!」
女「無駄だよ無駄!僕の方が圧倒的に売れてるんだよ!ほら、そこの子供だって僕に目を奪われているじゃないか~まったくモテるパンはつらいね~!」
男「んなばかな!あれは俺をまじまじと見つめすぎて頭がくらくらした結果ちょろっとてめえの方に目がいっちゃっただけじゃーい!!」
女「僕が売れる!」
男「おーれだってーのお!!!」
男2「お、うまそうなバケットじゃん。安いし、これ買おう。」
女「な!なんだってえ!!!??」
男「ほれみろおおお!俺のうまさを分かってくれる人間もいるんだよお!!ざまあみろおお!!」
女「そんな、ばかな・・・」
男2「帰ってラスクつくろーっと。自分で作った方が安くてたくさん食えるし。」
男「え?ちょ!ま!それだけは!!それだけはやめてくれえ~~~!!!」
女「・・・なんか複雑な気分。」