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女「ついにここまで追い詰めたわよ!魔王!あなたの野望もここまで!さっさと私にぶち殺されてちょうだい!」

 

男「随分遅かったじゃないか勇者。こうして顔を合わせるのは初めてだが、まさかこんな小娘だとは思わなんだ。」

 

女「小娘で悪いか!」

 

男「悪くなどないさ。むしろ驚嘆に値するとも。よくもまあ僕のかわいい手下達をさんざん壊してくれたものだ。一体その細腕のどこにそれだけの力が眠っているものやらと驚いているよ。」

 

女「ふん!あなたの手下が弱すぎただけでしょ!あの程度で世界征服なんて呆れて言葉も出ないわ!どうせその親玉だって大したことないんでしょ!早く私に倒されて、世界に平和を取り戻させてくれないかしら。」

 

男「僕の手下があの程度扱いか。確かに君の実力は折り紙付きのようだね。しかし、それだけの力を持っていて他の人間のいいなりとはね。大変だなあ勇者は人類の希望とやらで。その強大な力をこんなことのためにしか使うことができない。」

 

女「こんなこと?世界を悪の脅威から救うのがこんなことか?!」

 

男「こんなことだとも。世の中には素晴らしいものがたくさんあるのだよ。その力をもってしか叶えることができない事柄がねえ。」

 

女「この力が無ければできない、こと?」

 

男「僕と協力しないか?勇者よ。2人で世界を手に入れようではないか。」

 

女「そ、そんなことが許されるわけが無い!!馬鹿なことを言うな!」

 

男「世界を支配できたならば、世界の半分のーーーイケメン男子をやろう!」

 

女「な!!い、イケメン男子だと・・・??」

 

男「世界中のモデル、俳優、美少年、思いのままだぞ!甘いスゥイートタイムをを味わうもよし、逆ハーレムをつくるもよしだ。見たところ男っ気は無いのだろう?人間としては美しい方だとは思うが、もったいないな勇者よ。ははは。」

 

女「ふ、ふざけじゅるり・・・ふざけるな!そ、そんな誘いに乗っても!いい、いや!乗るわけないだろう!!」

 

男「この僕を殺す選択をするか勇者よ?世界に平和が戻ったとして、果たして君の望むものが手に入るのかい?人間はいままで君に何をしてくれた?そんな大層なことをするだけの恩義があるのかい?」

 

女「わ、私は勇者だ!魔王を打ち滅ぼす宿命を背負っているんだ!そ、そんな逆ハーレムなんかに惑わされてたまるかあ!!」

 

男「そうか。それは仕方がないな。世界の半分のお菓子メーカーもつけてやってもよいのだが・・・いらぬと言うならば仕方がないなあ。」

 

女「お、お菓子メーカーだと・・・?」

 

男「その通り、甘いケーキにサクサクのクッキー、アツアツのアップルパイ。すべて君の自由のままだ。イケメンに囲まれて、クッキーを食べさせてもらえる世界に興味が無いというのであれば仕方がないな。残念だ。」

 

女「ちょ、ちょっとまて!世界征服したらそんなもの消し飛ばすんだろうお前は!わ、わかってるんだからな!」

 

男「勘違いしているようだな勇者よ。僕は世界を破壊したいのではなく、征服したいと言っているのだよ。流通をコントロールし、国を統一し、治安を維持する。バラバラになって各国で闘争を繰り返すような馬鹿げた世界を僕が統治してやろうというのだ。当然、そこにはお菓子メーカーだって含まれる。それに、僕は人間の小娘に興味などない。君くらいの美しさならば世の中の男は嫌がることなんてないと思うがね?はっはっは。」

 

女「な、なんと魅力的な・・・い、いや!なんて下劣な!!世界の秩序を乱すことに違いはない!」

 

男「本当にそうかね?僕が唯一の敵になることで世界は多少なりとも秩序ができたと思うのだけどね、君は本当に以前の世界が平和だったと思うのかい?」

 

女「そ、それは・・・」

 

男「そうだな、イケメンを着飾るためのファッションメーカーもつけようじゃないか。なんなら君自身も着飾るといいよ。美しい勇者よ。」

 

女「く、ひ、卑怯な・・・」

 

男「卑怯ではないとも。これは取引だ。正当なね。これまで世界の人間のために欲も捨て、感情も捨て、女であることすら横に置き、一生懸命やってきたのだろう?もう十分だと思うがね。君が上に立つのであれば、人間達も本望であろうよ。」

 

女「うう・・・」

 

男「解放していいんだ勇者。望むんだ。叶えるんだ。手に入れるんだ。その権利がある。」

 

女「ひ、ひとつだけ・・・ひとつだけ!」

 

男「いいとも、欲を解き放つんだ勇者。いや、一人の人間として。」

 

女「半分じゃなくて、全部のイケメンにして。」

 

男「かまわないとも。世界のイケメンは君の物だ!!」

 

女「よっしゃああ!!やるやる!世界のイケメンは私のもの!!!うっひょー!!最高!!!!逆ハー!逆ハーだよ!!!いえーい!!!」

 

男「人間って、おもしろ!」

 

女「いえーーーーい!!!」

 

 

おわり

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