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​わがまま王女

女「じい!じいやはどこじゃ!」

 

男「は、ここにおります姫様。」

 

女「じいや!わらわは退屈じゃ!城から出てはいかんのか!」

 

男「失礼ながら、姫様は王族ですので王城から出ることは許されておりません。」

 

女「そんなことはわかっておる!でも退屈なのじゃ!暇なのじゃ!つまらんのじゃー!」

 

男「ピアノやバイオリン、舞踏のお稽古などございます。」

 

女「つまらんといっておるー!城から出られないのであれば、何か面白いものをもってくるのじゃー!」

 

男「姫様はどのようなものを面白いとお考えでございますか。」

 

女「そうじゃな!見たことないものがよいな!国にあるものは手に入るし、外の国のものがよい!」

 

男「なるほど、珍しいものをご希望でございますね。承知いたしました。すぐにご用意しましょう。」

 

女「たのむぞ!」

 

男「では、数日いただきますので、その間は舞踏のお稽古を」

 

女「ううむ・・・仕方がないのう。」

 

男「では、お任せくださいませ。姫様。」

 

ーーーーーーー

 

男「姫様、外の国からのお客人が来ましたぞ。」

 

女「おおお!待ちくたびれたぞ!!はよ通せ!!」

 

男「その前に、お着換えを。」

 

女「このままで」

 

男「そこの、お客人には丁重にお帰りいただくよう・・」

 

女「わかった!わかったからまっとれ!!」

 

男「では、お待ちしております姫様。」

 

ーーーーーーーー

 

女「まったく、ドレスというのはなんでこうも着るのが手間なのじゃ・・・」

 

男「王族の義務ですので姫様。―――では、どうぞお入りください。」

 

女「楽しみじゃの!」

 

男2「ごきげん麗しゅう、お姫様。わたくしは西の国より参りました、サルクと申します。」

 

女「うむ!サルクとやら、そなたはどのようなものを持ってきたのじゃ?」

 

男2「はい、こちらでございます。」

 

女「おお、これは・・・なんじゃ?ぐるぐるまわるようじゃが」

 

男2「こちらはハンドスピナーといいまして、手にもって回すことで気分が落ち着くというものでございます。」

 

女「・・・そなた、私に落ち着きが無いと申すか?」

 

男2「え!い、いえ!決してそのような意図は!!」

 

女「じいや。」

 

男「かしこまりました。おい、侮辱罪だ。連れていけ。」

 

男2「う、うわああああ!そんなあああ!!」

 

女「まったく、とんだ失礼なやつじゃな。」

 

男「おっしゃる通りでございます。姫様。」

 

女「まさかあれだけではあるまい?」

 

男「もちろんでございます。では、次の方、お入りください。」

 

女「次は面白いものだとよいのう。」

 

男3「お初にお目にかかります、お姫様。北の国より参りました、テグセルと申します。」

 

女「うむ。テグセルとやら、そなたは何をもってきたのだ?」

 

男3「はい、こちらでございます。」

 

女「おお~これは・・・なんじゃ?これもぐるぐる回るのがついておるが。」

 

男3「こちらはかき氷機でございます。」

 

女「かき氷・・・とはなんじゃ?氷なのか?」

 

男3「はい。氷を削って、甘いシロップをかけて食べるのです。多くの庶民に愛されております。」

 

女「そなた、私にただの氷を食えを申すのか?」

 

男3「え!い、いえ!こ、これは氷の食感を味わえるもので・・・」

 

女「じいや。」

 

男「かしこまりました姫様。おい、侮辱罪だ。連れていけ。」

 

男3「そ、そんな~!!!」

 

女「とんだ失礼なやつじゃな。」

 

男「姫様のおっしゃる通りかと。」

 

女「あとでかき氷とやら、作ってもってきてくれんか。」

 

男「かしこまりました、姫様。」

 

女「うむ。まだおるんじゃな?」

 

男「もちろんでございます。では次、お入りください。」

 

女「ドキドキじゃのう。」

 

男4「おおー!!南の国のお姫様萌ええ!おっきめのドレスたまらないお!僕のはーとずっきゅんすこすこのすこ!ロリッ子はあはあ!」

 

女「じいや、この男の言葉が理解できんのじゃが、辺境の村かなにかから連れてきたのかの?」

 

男「いいえ姫様。東の国でございます。」

 

女「・・・そなたの名は?」

 

男4「お!これは失礼しますた!僕は木下三郎!サブちゃんって呼んでくれていいんだお!むしろ呼んで!あ!でも呼び捨てでもオールOK!というかその方が興奮するぅ!!」

 

女「言ってることの大半が理解できんのじゃが、サブローというのか。」

 

男4「下の名前呼び捨てキター!もっと高圧的にヨロシクビシ!」

 

女「じいや、この男は何をいっておるのじゃ?」

 

男「異国の言葉遣いは理解が困難ですな。」

 

女「・・・まあよい。サブローとやら、そなたはどんな珍しいものを持ってきたのじゃ?」

 

男4「姫様のご要望とあらばなけなしの貯金を振り絞ってご用意させていただきましたでござるよ!じゃじゃーん!最新型ゲーミングノートPC!!メモリ32GB容量2TB!2階から落としても傷一つつかない上に連続稼働時間30時間を誇るまさにニートの必須アイテムビシ!しかもネットが無くても遊べるように一通りのローカルゲームをインストールした上に自作ゲームも作れるプログラミングソフトも一通り搭載済みだお!ネット環境が無くても自家発電できるニートの鏡!さすがサブちゃん!できるこだお!」

 

女「ん・・・えっと、ぴーしー?めもり?ぷろぐら?なんじゃ?」

 

男4「南の国にはPC文化が無いのもリサーチ済みな僕に抜かりはないんだぜ!すべて1から教える用意はできてるんだぜビシ!さあ姫たま!はじめてのパソコン教室へようこそだお!最強のゲーマーに育ててみせるお!!」

 

女「え?ちょっと、無礼な!え?まうす?ネズミがおるのか?ポインタ?なんじゃ文字がたくさんあるぞ?え?絵が動いておるぞ!?これは?」

 

男「ご満足いただけたようですな。さて、じいは夕食の用意をしてまいります。」

 

女「おお!?なんじゃこれは!?え?敵?しょっと???だめなのか!??も、もう一度じゃ!!!もう一度おーー!!!!」

 

男4「姫たま萌え!!」

 

ーーー

女ナレ「10年後、南の国は世界一のIT大国として発展を遂げ、IT知識は王族の必須スキルとなったのでした。おしまい。」

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