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時間旅行

女1「おきなさい」

 

男1「ん、ああーもう少し」

 

女1「おきなさい、早急に。」

 

男1「なんなん・・・気持ちわる・・・うーー」

 

女1「おきなさい、殺されたいの?」

 

男1「わかったわかった、起きるって・・・って、ん?君だれ・・・って頭いたい・・・なんなん」

 

女1「私が言いたいわ。あなたは一体どこの誰で、何故ここにいるの。」

 

男1「んんー、飲みすぎて電車に乗ったとこまでは覚えてる・・・け・・ど?」

 

女1「でんしゃ?そんな博物館に飾られてるような乗り物が走ってるわけないじゃない。」

 

男1「車が、飛んでる?え、なにその奇抜な服・・・・というか、ここどこ・・・・」

 

女1「ここはトーキョーシティ。世界で最も人口の多い文明都市よ。」

 

男1「はあ?」

 

 

 

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女1「つまり、あなたは過去からきた人間ということかしら。服のセンスも古いし、電車とかなんとか言ってたけれど証拠はなにもないわね。」

 

男1「ちょちょ、ちょっとまって!過去?ここは何年なの?2017年じゃないの?あれか、映画の1シーンの撮影とか?あ!ドッキリでしょ!未来人ドッキリ!ワーレーワーレーハー!ってそれは宇宙人か。」

 

女1「何を言っているのかわからないけれど、今は3017年。あなたの言うことが真実だとするなら、ちょうど1000年後ということになるわね。」

 

男1「1000年!?何がどうなったらそんな時間をすっとばしてくるわけ!?」

 

女1「そんなの知らないわ。過去から来たという証拠はある?」

 

男1「証拠?そんなものあるわけないでしょ!いつの間にかカバンも無いし?身分証明書もカバンの中だし?というかもし帰れてもカバン紛失とか始末書もんだし?」

 

女1「たとえば、1000年前でなければ知らないこと、とかあるかしら。」

 

男1「そーだ!その博物館?とやらに2017年のものがあるんだろ?それを説明できればいいんじゃないか!?」

 

女1「そうね、行ってみましょう。でも、貴重品が多いから手錠させてもらうわね。」

 

男1「何も悪いことしてないのに捕まるのはいつの時代もおんなじなんだな。世知辛い世の中だぜ。」

 

女1「ついてきなさい。」

 

 

 

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男1「うおー!マジで展示されてる!すっげえボロボロだけどこれ山手線じゃん!なにこれ手裏剣?これはもっと古いだろ!お土産とかじゃないの?」

 

女1「これは何をするものなの?」

 

男1「ん?ああこれは炊飯器だな。米を炊く家電製品だ。」

 

女1「こめ?って何かしら?」

 

男1「ええええ!1000年後には米も無いのか!?ありえねー信じられねえ!何食って生きてるんだよ!」

 

女1「こめ、というのは食べ物なのね。」

 

男1「おう、こう、白くて、ふっくらしてて、ほんのり甘くて、どんなおかずにも合うという最強の主食だよ。」

 

女1「なるほど―――嘘をついているようには見えないわね。」

 

男1「当たり前だろ!というか毎日これ使ってたわ!!パンより米派だ俺は!」

 

女1「ふうむ、いいわ。とりあえず今日は休みなさい。部屋は用意するわ。」

 

男1「え、実はベッドに電気が流れたりとか、部屋に水が充満してくるとかない?」

 

女1「ないわ。」

 

男1「じゃーお言葉に甘えて。二日酔いで頭痛いし。」

 

女1「ええ、また明日。」

 

 

 

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女1「おきなさい。」

 

男1「んんーーん、ああおはよう。というか普通に部屋にはいってくるとか。寝顔みられちゃった?」

 

女1「そうね。けだるそうなしかめっ面を数秒間見ることができたわ。」

 

男1「それはなにより、――ううーーーん(伸び)・・・ふう。それで、なにかあった?」

 

女1「ええ、過去に戻る方法がわかったわ。」

 

男1「うっそマジで!!やったー!早くいこうぜ!!」

 

女1「・・・こっちよ、きなさい。」

 

 

 

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女1「この機械の中に入って、目を閉じなさい。光を感じたら、もう元の時間軸に戻っているわ。」

 

男1「おー、そんな簡単に戻れちゃうのか。んじゃ、名残惜しくは無いけどおたっしゃで!!」

 

女1「ええ、そうね。」

 

男1「じゃねー!!・・・お、中は真っ暗なんだな。んで、目を閉じる、と。」

 

 

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男1「・・・んおっ、まぶし、って、おお、元の世界だ!!!すげえ、ほんとに戻ってこれた!やったぜ!よーし、この体験をブログにまとめよう~んふふ~」

 

 

 

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女1「博士、本当にこれでよかったのですか?」

 

男2「ああ、彼の存在は非常に貴重だ。これで謎多き過去の解明が進むことだろう。」

 

女1「寝ている間に彼の記憶をコピー、そして限り無く記憶にある世界に近いデータを作り上げ、仮想空間に彼を閉じ込める。・・・人間の所業とはおもえませんね。」

 

男2「研究者は人間とは程遠いよ。真実の探求のためだけに存在するからね。それに、彼にとっては元の世界で生きていけるのだ。誰も不幸ではない、そうだろう。」

 

女1「そう、ですか。」

 

男2「そうとも。さて、彼の仮想空間上での行動を解析するとしよう。彼が死ぬまでな。」

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