【したっぱの日常】
ナレ:ここは、悪の組織である。日々正義の味方が組織を潰さんと襲来してくるため、怪人を作り続けて財政が悪化しているのだ。
男1「なー、今日のスケジュールなんだっけ?」
女1「んー?今日は10時に新しい怪人を考えるミーティング、んで14時からヒーロー襲来訓練。」
男1「あー、襲来訓練かー。あれだるいんだよねー。しっかりやりすぎっつーか。」
女1「そーお?わたしは怪人考える方がめんどくさいかな。もうネタギレでしょあれ。」
男1「そんな気がする。前回生まれた怪人なんだっけ。」
女1「えーと、『激辛怪人マーボー仮面』」
男1「あー、料理シリーズか。虫とか動物とかあらかたやっちゃったしなー。」
女1「虫はけっこう強かったよね。カマキリとかバッタとか。」
男1「カマキリ怪人の・・・名前忘れた。必殺技の『カマハリケーン』は凄かったな。手のカマを投げては再生、投げては再生でずーっと竜
巻みたいに回転し続けんの。」
女1「『怪人カママスター』ね。確かにあれは強かったわね。あと一歩で弱点見抜かれちゃったけど。」
男1「なー、威嚇行動に弱いとかなんで怪人やってるんだよ。」
女1「知らされた時は笑ったわ。戦闘中、とにかく威嚇されないように一生懸命だったもんね。」
男1「そーだな。それに比べてマーボー仮面。必殺技が豆板醤爆弾。当たるとヒリヒリするって。馬鹿にしてるよなあれ。」
女1「言ったでしょ、ネタギレだって。料理シリーズは駄目だって何度もいってるのにね。」
男1「幹部連中が何故か料理シリーズを推すんだよなー。」
女1「なんでだろうね。『卵怪人スクランブルエッガー』なんてもう、ただのスクランブルエッグだったもん。不定形の怪人は役に立たないって。」
男1「もう人じゃないなそれ。」
女1「あ、スケジュール1つ忘れてたわ。9時半から幹部挨拶があった。」
男1「あー、そんなのもあったか。今日の幹部、誰?」
女1「アンドレ。」
男1「マジかーー、一番面倒くさいやつじゃん。」
女1「そろそろこの組織も辞め時かなー」
男1「給料も下がってきたし、ボーナスも無くなったしな。」
女1「でも次の就職先がねー。履歴書に『悪の組織に就職』とか書けないから、今まで働いてないことになるよね。」
男1「なんで悪の組織入ったんだろ。」
女1「当時は待遇よかったからしょうがないよ。」
男1「だなー・・・あ、幹部挨拶始まるって。行こうぜ。」
女1「そうね。行きましょ。」
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男2「戦闘員のみなさん!ご機嫌うるわしゅう。この組織は元気と笑顔が重要であるべきですそうは思いませんか戦闘員のみなさん!」
戦闘員「イ゛エエエエーイイイイ!!!」
男2「とっても素晴らしい返事ですーワタクシも感激デス!ヒーロー撃退の暁には、みなさんでお料理パーティをしましょうー!!楽しみデス!」
戦闘員「イ゛エエエエーイイイイ!!!」
男2「それでは、今日も素晴らしき1日を。では解散デス!」
戦闘員「イ゛エエエエーイイイイ!!!」
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男1「なあ」
女1「なに?」
男1「毎回あのテンションなの、疲れない?」
女1「しょうがないじゃない。ちゃんとテンション上げないとどうなるかわかってる?」
男1「ああ、同期の田中がやられたな。」
女1「そ、ふざけた怪人に改造されてヒーローに突っ込まされるやつ。」
男1「田中はなんだったかなあ、たしか『便器怪人トイレット』だったな。必殺技は手からトイレットペーパーが無限に伸びる。」
女1「うわ最悪・・・」
男1「やっぱり辞め時だな。」
女1「そうね。ちょっと幹部に話してくるわ。」
男1「俺も行く。2人の方がいいだろ。」
女1「心強いわ。じゃあいきましょ。」
男1「おう。」
ナレ:その後、2人の戦闘員の姿を見る者はいなかった。そして、無駄にテンションが高い2人組怪人、『パリピ怪人シブヤデオールナイト』が誕生したのだった。